すが雑談

菅波栄純。1979年10月16日生まれ。福島県出身。 結成20年を経て活動中のバンドTHE BACK HORN所属。 ギタリスト/作詞作曲者。お仕事のご依頼はこちら eijun@ve.jvcmusic.co.jp 人生は結局喜劇だと思う。

鼻をほじりすぎると鼻の穴が大きくなると親父に言われた話

親父は言った、鼻をほじるな。

小学生のおれに親父は言った。「ばかやろう、鼻をほじるな。汚え」。正直親父が鼻をほじってるのを毎日見かける。ずりい。ずるいよ、父ちゃん、と言おうかいわまいか迷ってる俺に向かって親父が言ったのがタイトルのあれだ。「鼻をほじりすぎると鼻の穴がでかくなるぞ」。確かに親父の鼻の穴はデカかった。じゃあ、親父はそんな顔面が変形するリスクを背負ってまでほじってるというのか。大人って気合が違う、と俺は思い、ブルッた。

 

のび太の背中

これは小学生の頃の話だ。鼻をほじるのは小学生の仕事とばかりにおれは毎日鼻をほじっていた。漫画「ドラえもん」に出てくるダメ人間のび太も、いつも圧倒的な腕前で鼻をほじり倒していた。負けたくないと思ったおれは必死でのび太の背中を追いかけた。

ゾーン

鼻をほじるにも2段階ある。一段階目は普通に鼻の中に違和感があり、それを排除するための合理的な行動。2段階目はゾーンに入った状態だ。周りの音も聞こえなくなり無我の境地に入る。その日おれは茶の間という公共施設でゾーンに入ってしまった。そこに「くさや」という臭いつまみを取りに来た親父が現れて、冒頭のひとことを言った。それを聞いた思春期の少年が感じたことっていうのは、わりとそのまんまだ。鼻をほじるのをやめよう。おれは鼻の穴がでかくなりたくない!しゃくれというチャームポイント以上のチャームポイントは、もうこの顔には必要ない。そしておれは鼻をほじるのをやめた。正確にはたまにやる程度になり、ゾーンに入る能力自体、大人になるにつれて失ってしまった。

 

システム

これはおまけだが、鼻をほじるとなにか快感があるように思っていた。耳もしかり。体にある穴は快感を生じるように仕込まれてるのではないか。そうすることによっておれという本体を操るシステムになってるのではないかと思っている。

 

 

 

 

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